「他の会社にいけばやりたいことが見つかるのではないか?」と考え転職をしたが、次の会社でも見つけられずに転職を繰り返し、気付いた時には「企業から欲しがられない人材」になってしまっていた。このようなケースはよくあることです。
「やりたいことを見つけなければならない」この固定観念に囚われている人が多くいるようです。
今、社会で活躍している人のほとんどが「どうしてもこれがやりたい」という仕事をしているわけではありません。目の前のことに実直に取り組み周りから認められる。20代がキャリアを積み重ねていく上で、このことが何より大切です。
大坂なおみ選手のように子供の頃から世界チャンピオンを夢見てやり続けられる世界的テニスプレーヤーはごく稀です。ほとんどの人は「偶然の連続」でキャリアが形成されているのです。
「計画的偶発性理論」をご存じでしょうか。キャリア研究の先駆者でスタンフォード大学教授ジョン・クランボルツ氏が提唱する理論です。変化の激しいシリコンバレーで発祥した考え方で、今やアメリカの主流となっています。
◆20世紀末まで、アメリカで一般的であったキャリア論
①キャリアは自分で意図的に職歴を積み上げることで形成される。目指すべき最終ゴールを決定し、逆算して計画を立てる。その計画にこだわって実践することが良いキャリアを積むことになる。
②最終ゴールは、計画を立てる時点での自分の興味、価値観、適性、能力などから分析すれば明確になる。
◆計画的偶発性理論
①キャリアの8割は予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される。その偶然をただ待つだけではなく、自ら創り出せるように積極的に行動する。目の前の出来事に神経を研ぎ澄ませ、偶然を意図的・計画的にステップ アップの機会へと変えていく。
②最終ゴールからキャリアを逆算することは非現実的。変化の激しいこれ からの時代には、想定していたゴール自体がなくなることもある。
③携わった仕事や出会った人、読んだ本などによって、自分の興味や関心、 価値観は変化していく。ある時点でゴールを決めてしまうと、目の前に 訪れる新たなチャンスが見えず、逃してしまうことになる。
「やりたいこと探し」に必死になり、目の前のことを疎かにすると、大事なチャンスを逃してしまいます。20代は特に「今、ここで」を大切にし、目の前の仕事で成果を出すことが大切です。そのうち、いい偶然と出会い、ステップアップの機会に恵まれます。これらは多くの成功者へのインタビューから導き 出された理論です。目の前の仕事が理想的なものでなかったとしても、真剣に向き合い、成果を出していれば、望むチャンスに繋がっていくはずです。